もりのくまの”M's Grab Bag”が「くまの雑記帳」で再出発。観劇記録、コンサートの記録、おいしいもの記録が中心の雑記帳です。


by a_bear_in_woods
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『二都物語』@帝国劇場 7月28日マチネ

あら、久しぶりの帝国劇場でしたね。最近はクリエが多かったですから。

ということで、芳雄くんの久々の帝国劇場作品でした。
今回も、連れは夫。(今年は夫に随分と付き合ってもらってます。『Daddy……』に始まって4回目!!)

有名なディケンズの同名の小説を原作にしたミュージカル。
フランス革命時のロンドンとパリ(二都)を行き来する、距離も時間も大河ドラマに匹敵するようなスケールの物語を舞台作品にしてはやや長めながらも、意外にコンパクトにまとまってしまってました。

また、パリの街でうねっている革命への庶民の感情の部分は暗いエネルギーがあふれる場面になるのですが、一方でロンドンで営まれている名のある主人公たちの暮らしは穏やかに流れていくので、舞台全体と印象としては穏やかで優しく、あたたかな印象が残りました。

ああ、こうして書いてみて、原作を読んだ時からなぜ「二都」にしなければならなかったのか、って根源的な疑問がやっと解けました。
今ならば海底トンネルで鉄道で行き来出来てしまうぐらい、実はそう遠くはない二つの都市。この時代は船でドーヴァーを渡るので、危険もあったし、時間もかかっただろうけど、だからと言って、ものすごい隔たりでもない微妙な距離関係

でも、一方の都市ではそれまでの貴族社会の崩壊が過激に血なまぐさく行われていて、一方ではまるで対岸の火事のように日常が(もちろん全くの影響がないわけではなく、ロリー氏がパリに行かなければならないのはそのためだし)流れている。

主人公のカートンとダーニーの対比もだけど、似ているようで違う、違うようで似ているいろんな対比がちりばめられた物語なんだなぁ……と。

原作を読んでいるので結末は知っているわけで(もっとも原作を読んでなくてもたいてい、気がつきますが。夫もそうでしたが)、にもかかわらず、というかだからこそ、というかカートンがロリー氏にある告白をし、そして頼みごとをするシーンでは涙が止まらなくなりました。
初めて自分が誰かのために、まっとうなことで役に立つのだ、いや、誰かのためなんて甘いもんじゃなく、愛する人のためだ!その決意に悲壮感よりも充足感と喜びを持っている様子が伝わってきて、なんとも切ない。

そして同じく罪無く断頭台の露になることになったお針子との短いけれど優しい時間の流れ……
これまでの芳雄くんの役でもラストに不幸な死を迎える役は少なくなく、無念や悲しみに満ちていたけれど、今回はカートン自身が満ち足りて「星になる」ので、そこで受け取るものは本当に全く違うと感じました。

それから、悲しみや憎しみの連鎖をどう断ち切るのか、どこに終わりを見るのか……これもひとつのテーマなのかな。

そうそう、文字で読むのと誰かの解釈が付け加えられたうえではあるけれど、ビジュアルで受け止めるとでは、やはり後者の方が判りやすくなります。
原作の冒頭で何度も繰り返される「よみがえる」の意味がようやくわかったし(汗)。

しかし、読んでも、観ても思うことはダーニーのお坊ちゃま的楽観性ですね(汗)。
いや、だからどう考えてもあの状況でパリにもどることを選ぶってのはどれだけ無謀かと……
それを判ったうえでも助けを求められたら、行かないわけにはいかない、って正義感こそが貴族の身分を放棄させたのだろうけど……
ま、その人の良い、甘い雰囲気が浦井君にとってもあっていたと思いますが。

さてさて、今回の芳雄くん、なんだかしっとりと落ち着いていました。
歌も熱くなりすぎず、重くなりすぎず、でも「どーん」って何かがある、そんな感じかな。

夫も「なんだか弟みたいのが居て(浦井君ですね)、周りも(アンサンブル)も年下が増えてきて、落ち着いた感じだね」と言ってたけど、本当にそんな感じで「おとな」が漂っていました。

とりあえず1回目の感想はここまで。
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by a_bear_in_woods | 2013-07-31 10:41 | Theatergoing