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もりのくまの”M's Grab Bag”が「くまの雑記帳」で再出発。観劇記録、コンサートの記録、おいしいもの記録が中心の雑記帳です。


by a_bear_in_woods
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『キャンディード』@帝国劇場 6月11日

間1週間と開けずに(汗)、2回目の『キャンディード』観劇に行ってきました。

朝一の仕事をこなしてから劇場に駆け付けたのですが、東京に向かう電車の中でふと、時間に不安を感じて路線情報を確認したら、なんとギリギリ!
乗り換えを急がないと、有楽町につくのがなんと開演8分前!
思わず、駅で久々にダッシュしてました(大汗)。

前回は2Fからオペラグラスを通しての観劇でしたが、今回はなんとかなりの前方席。しかも、上手階段の直ぐ近くでした。
上手の階段は客席に降りたキャストが舞台に戻るのに何度か使われます。
また、キャンディード(井上芳雄くん)がそこに座りこむシーンもあったりするので、本当になんというかラッキーなお席でした。
またまた近距離から、今度はキャンディードを演じている芳雄くんをじっくり見てくることができました。

さて『キャンディード』はオーヴァーチュアのメロディに乗せて作者であるヴァルデール(市村正親さん)が、自分の生み出した物語の登場人物に役割や性格、立場を表す小道具を配るシーンから始まります。
キャストたちが操り人形のように動き、これからの物語の断片を見せるような振り付けでダンスをします。
この始まり方も結構好きです。なんだか先が楽しみになってきます。

楽しみになってくる物の、主人公のキャンディードと数奇な旅を観客も体験していく物語なので、2度目になるとどうかな先が判っていては数奇じゃなくなって退屈する?とちょっと心配もしていたのですが、これがなかなか、退屈するどころか2度目の方が時間が短く感じるほどに楽しめました(もしかしたら、つなぎの関係などで実際に短くなってる可能性が無くもないけど)。

タイトルロールのキャンディードは18世紀のドイツのある領地の男爵の甥っ子。だけど、私生児なので貴族としては認められていません。それでも男爵の館に住み、男爵の子女たちとともに自称偉大な哲学者から「楽天的最善説」なる思想に基づいた学問を学んでいます。
まぁ、学問と言いながら、この哲学者ときたら『色』の方も……

とにもかくにも、キャンディードにはその後、さまざまな不幸や苦難が降りかかり、だけど大先生の教えによれば「すべては最善」なはずで……
旅はヨーロッパを飛び出し大西洋を渡って南米へ、そして再びヨーロッパにと行く先々でいろんな出来事に出合い、人々に出会い、「悲観主義者」にまで出会い、混沌からやがてある理解へと……

大雑把にいえばそんな物語。
ともかく、死んだはず、あるいは死んだとしか思えない登場人物がたびたび死の淵からよみがえり、キャンディードの前に現れる、それだけでも荒唐無稽。あり得ない物語、なんだけど、どこか納得しちゃってる自分がいる、おもしろい物です。

名前に「白」つまり無垢という意味を持つキャンディードはまさしく無垢の魂。大先生の教えに疑問も持たず、逆らいもせず、そんなどこか頼りない青年を演じる芳雄くん、これがなかなか合っています。
彼は、身にまとった物(抽象的な意味のね)をすっ、と捨て去り、無垢を表現するのがとてもうまいなぁ~といつも思います。

さて、うっかりすると芳雄くんへの賛辞だけで観劇記録が終わっちゃいますが(笑)、今回は何と言っても新妻聖子さんが大健闘!です。
かなり難しいソプラノの楽曲を見事に自分のものとして歌いあげています。また、色々難しい役柄なのですが、演技もさすが!
歌に関してはアンサンブルも充実していて、たびたびアカペラコーラスがあるのですが、見事に重なり合う歌声は気持ちよく楽しめます。

そうそう、せっかくのとても前の方のお席でしたが、舞台の床は当然ながら全く見えません。
ところが実は床と床の照明はかなり大きな役割を果たしているので、そのあたりは2F席の方が余すことなく堪能できるかも。
客席降りのシーンと照明の効果……私の天秤だと照明の効果をとるかな。

さて2週間後に3度目にしてマイ楽です。それまでお仕事頑張ろうっと!
あ、それとまた駅でひとっ走りしなきゃならないだろうから、今度はスニーカーを履いていくかな(笑)。
by a_bear_in_woods | 2010-06-13 22:01 | Theatergoing